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| 2016.11.14 Monday () | - | - | - |
映画三昧 『硫黄島からの手紙』 を観る
評価:
渡辺謙,二宮和也,伊原剛志,加瀬亮,中村獅童,裕木奈江,クリント・イーストウッド,アイリス・ヤマシタ,スティーブン・スピルバーグ
(2007-04-20)
 毎年ヒロシマの日には戦争映画を観ます。
 今年は「原爆」とは関係ありませんが
 昨年話題をさらったこの映画を。


 以下、ネタばれあります・・・・。


 『硫黄島からの手紙』


 イーストウッドらしい陰影のある絵で
 戦争の持つ狂気の部分を描いた映画です。

 この映画を観始めてしばらくの間
 ぼくにはずっと違和感がありました。
 それが何かがはっきりしたのは
 物語りの30分すぎくらいにあった、
 二宮和也演じるこの映画の事実上の主人公・西郷の
 日本での回想シーンでした。

 このシーン、西郷に召集令状が来て
 妊娠している彼の妻(裕木奈江!なつかし!)と語り合うという
 とても大事なエピソードなのですが、
 いかんせん、そこでの台詞が
 あまりにも現代的過ぎるように思うのです。
 (「おれはまだ棺おけに入ってない」とか言わないって、ふつう)
 
 これはひとつのシーンに過ぎませんが、
 一言で言えばこの映画の中心的な人物の多くは雄弁なのです。
 しゃべりすぎ。
 
 もちろん当時の日本人をぼくはよく知っているわけではないのですが、
 これまでの戦争映画の多くで描かれた日本人は
 この映画の登場人物のように
 自分の気持ちを語り合ったりはしないものだし、
 上官に意見を言ったりもしないし、
 ある意味、合理的にものを考えたりもしないわけです。
 もっといえば、戦時の日本人というのは
 多くの場合、理不尽で、非合理的で、権力には従順なキャラとして描かれる。
 そことのギャップにぼくは違和感を覚えたのでしょう。
 
 ただそれがイーストウッドの仕掛けだったのではないか、と思います。
 彼はあえてそれをすることによって
 これまでの戦争映画とは異なる手法で
 戦争の理不尽さを説得力をもって描いた。
 今となればそのように思うのです。

 合理的な考え方をする栗林や西郷、西などは、
 それぞれがこの映画におけるキーパーソンです。
 彼らの合理性は、西郷のはじめの上官や
 中村獅童が演じる伊藤といった
 旧来描かれてきた「典型的日本軍人」のおかげで
 とても際立つようになっています。
 しかしこの映画、
 合理的な考えをするものが最後に得をし、といったようには
 決して描かれていない。
 その点がとても秀逸で、説得力があるように思えます。

 たとえば劇中、
 憲兵出身者であるがゆえに
 なかなか他の兵士の仲に溶け込めなかった清水と言う兵士が
 目の前で死んでいく仲間の姿を見るにつけ弱気になり、
 西郷と結託して、アメリカに投降するというエピソードがあります。
 このエピソード、
 その前に、アメリカ人の捕虜を
 アメリカ人との親交がある西が助けると言う話が描かれていて、
 それゆえ見るものには
 清水がとった行動がとても合理的に映るわけです。
 しかし結果としてこの予想は裏切られます。
 清水は見張り役の米兵に銃殺されてしまう。
 ここでは「合理的」なはずの行為が
 無残にも踏みにじられるという結果が描かれています。

 また、この映画における「非合理」の象徴といえる
 中村演じた伊藤は、劇中のある段階で
 単身、地雷を身にまとい
 「戦車を道づれにする」と息巻いて
 何日も、米兵の死体の中に紛れ込みます。
 この話自体がはっきりいって「意味不明」ですが、
 結局かれは本意を遂げることが出来ず、
 流れ流れて、最後、洞窟に倒れているところを発見され
 捕虜として捉えられるわけです。
 映画の後半、時おり挿入される彼のエピソードのこの「オチ」は、
 合理的な選択が必ずしも最良
 (この場合の最良は「生き残る」ことですが)ではないということを
 象徴しているように思えてなりません。

 つまり、イーストウッドがこの映画に込めたメッセージのひとつには
 ともすれば「合理的」なアメリカ人が
 「非合理的」な日本人を打ち負かすと言う
 これまでの戦争映画にあったステレオタイプを覆したい、
 ということがあったのではないか、と思います。
 そしてそれを体現したキャラクターが
 これまでの戦争映画にはいなかった日本人・西郷なのではなかったか、と
 ぼくには思えます。

 そしてその短絡的な二元論を否定した先にあるのは、
 戦争と言う人間の行為そのものへの
 強烈な批判と風刺なのだと思います。
 その意味で、この映画は日米双方にとって
 おそらく同等に「反戦」の映画たりえているのではないか。
 そんな風に思いました。

 次は「父親たちの星条旗」
 見なければいけません。
 
 にしても、やっぱイーストウッドすごい!



| 2007.08.06 Monday (17:36) | 映画を観ました | comments(0) | trackbacks(1) |
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| 2016.11.14 Monday (17:36) | - | - | - |
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