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| 2016.11.14 Monday () | - | - | - |
映画三昧 『日本沈没』と『ゆれる』 を観る
評価:
オダギリジョー,香川照之,伊武雅刀,新井浩文,真木よう子,木村祐一,ピエール瀧,田山涼成,西川美和
(2007-02-23)

 きょうのもちょっとしたネタばれありです。

 最近好調な邦画界にあって
 昨年公開された2本を観ました。
 ぜんぜん性格の違う映画だけど
 せっかくなので一緒に書いちゃおうっと。

 結論。「ゆれる」のワンサイドゲーム(ゲームじゃないけど)。

 正直言うと、
 「日本沈没」はちょっときついかなぁ、という印象。
 かつてテレビドラマで見たような
 なんとも言えない恐怖感はほとんど感じられないし、
 ストーリーの展開も単調。
 演者さんはみなさん好きな方で
 演技もとても良いのだけれど
 結局、脚本の問題なのかなぁ、と。
 だってこれ、どうみても「ディープ・インパクト」の
 安っぽい部分だけを引っ張ってきてる感じに見えちゃうんですよ。

 あちらの方は「絶望」をまだ「絶望」として描ききっている部分に好感をもてるけど、
 「日本沈没」の方は、そういう腹の括った感じがないのですね。
 さらに、どちらにも、自分の命を投げ出して、
 なんとか危機を回避しよう、愛する人を守ろうという人が出てきますが、
 「沈没」のほうについては、なんかね、あまりにもこう恰好よすぎて
 リアリティがないのですよ。(草なぎ君のせいだけじゃないと思う、これは)
 この辺はもしかしたら日本とアメリカと言う国の文化的な違いかもしれないけど
 「ディープインパクト」で「自爆」を選んだクルーたちが
 ある意味で「しかたない」選択としてそれをしたのに対して
 草なぎくんは、自分が逃げることも出来たのに、それをしない、
 という格好良さ、なのですよ。
 ちょっとね。鼻につきます、これは。
 そりゃきれいすぎるだろ、と。

 結局、本当のパニック状況において
 人がどういった行動をとるのかを描く、という点において、
 「ディープインパクト」が、多様なひとびとをそこに描いたのに対して、
 「日本沈没」の方は、ちょっと小さいところにまとめちゃった感があるのですね。
 それでいて、物語の最後、
 国のリーダーにスピーチさせるところまで同じときてるもんだから、
 (なぜか「日本沈没」では、大臣だった大地真央がその役。
 べつにいいんだけど、首相役だった石坂浩二を殺しちゃう意味、なにかある?)
 やっぱり、かの映画を意識してるのがありありなのに、
 映像はもちろんのこと、本でも観るべきところがないもんだから
 なんだか妙な疲れだけが最後に残る、といった感じなのです。

 それに対して「ゆれる」は、何より脚本がすごい!と感じさせる映画です。
 この監督さん、まだ若い女性の監督さんなのですけども(西川美和さん)
 映像が言葉を雄弁に伝えるというタイプの人だなぁ、とただただ感心。

 お!と思ったところはいくつもあるのだけど
 ぼくが一番唸らされたのは、
 オダギリ・ジョー(いまたぶん一番輝いてる映画俳優だと思う)と真木よう子さんとの
 セックスのシーン
 (「ベッドシーン」とかいう表現はちょっと違うと思う。あくまでも「セックス」なのだ)での
 細かい演出でしょう。

 このシーン、亡くなった母親の一周忌に故郷に戻ってきた
 オダギリ・ジョーが、(たぶん)かつての恋人で
 今では実の兄(香川照之さん。この人も恰好よい!)が想いを寄せている
 真木よう子とセックスをする、という場面で
 この映画にとって、とても重要なシーンなのですが、
 彼ら2人の情事のカットの合間に、
 香川さんがガソリンスタンドで働くシーンが入るのですね。
 そこでは、給油口に給油パイプ?が「挿入される」シーンが映りますが、
 これはまさしく、情事の「それ」を意識させるシーンであると同時に、
 「生真面目で不器用な兄」と
 「器用で、いとも簡単に欲しいものを兄から奪う弟」という
 この映画の柱となる2人の主人公の関係を
 一瞬で悟らせてしまう場面なのですね。

 いい映画の常として、
 無駄なシーンがないことと
 ひとつひとつのシーンに複数の意味をこめていること、があるように思いますが
 この映画はそうした性格を備えた映画だと思います。

 もうひとつ、「すごい!」とわたしが思ったのは、
 この映画、そこで描かれていることの多くが、
 「結局どういうことなの?」という疑問と解釈に開かれたままで、
 なにひとつ「すっきり」せずに終わる、ということです。
 映画の時間を進めるのに大きな役割をもった「事件」の真相も、
 その事件に関する裁判での判決も、
 兄弟2人が、相手に対して抱いていた思いの本当のところも、
 キイパーソンでありながら、さっさと死んでしまったヒロインの本当の気持ちも、
 そういった重要なことについて
 わかりやすい答えを一切描かずに、
 そう、映画を象徴する「つり橋」のように、
 きわめて不安定なまま
 観るものに解釈をゆだねられたままで、この映画は終わっていきます。
 それでいて、中心的テーマである
 「兄弟」「家族」といった近しい人間関係につきものの確執と葛藤の部分については
 とても力強く、観るものに伝わるメッセージがある。
 そんな映画だと思います。

 ある意味この「潔さ」の持つ力には
 黒澤の「羅生門」に似たものを感じますが
 (あちらはでも、芥川の原作よりもはsるかに「答え」があった映画でしたが)
 そこにある確執が、きわめて日本的な「兄弟」のそれであったと言う点に
 新しさを感じるのですね。

 たぶんお金なんてそんなにかけてないと思うんだけど、
 きちんとした脚本があって、
 演者さんがすばらしければ(もうね、オダジョー最高です。香川さんもすごい!)
 こんなに説得力があって
 観るものに何かを着実に残す映画ができるんだなぁ、
 やっぱり映画ってすごいなぁ、と
 ただただ感動です。

 水野晴郎さんじゃありませんけど。

 「ゆれる」は絶対的なおすすめです。
 「日本沈没」は、でもまぁ、わかりやすい感動が欲しいときにはいいかも。
 比べちゃうとね・・・という感じでしょうか。



| 2007.06.20 Wednesday (18:40) | 映画を観ました | comments(0) | trackbacks(0) |
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| 2016.11.14 Monday (18:40) | - | - | - |
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